タイに移住|リタイアメントビザの申請方法と条件を解説
50歳以上の長期滞在者向けのビザであるリタイアメントビザ。定年退職後、タイへの移住をお考えの方で、このビザの取得を検討されている方もいらっしゃるかと思います。ですが、いざ手続きをする段階になると、何からすべきなのか、どこから手をつけて良いのか分からないという方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんなリタイアメントビザの要件と申請方法について詳しくご紹介していきます。
タイのリタイアメントビザ概要
リタイアメントビザとは、50歳以上の方を対象にした長期滞在ビザです。
正式名称を「ノンイミグラントO(年金受給者/リタイアメント)」と言いますが、リタイアメントビザという通称の方がより知られているかもしれません。
退職をした方向けのビザなので、現地での就労はできません。
申請者の多くは定年後にタイへ移住される方、またタイで定年を迎えた外国人でそのままタイに定住を希望される方々です。
90日間滞在できるシングルビザ(期間中にタイ国外へ出た場合は権利が消失する)と1年滞在できるマルチプルビザ(再入国許可証を取ることで入り可能)の2種類があります。まずは90日のビザを取り、その後更新することで1年のマルチプルビザに切り替える方が多いようです。
いくつかある50歳以上の方を対象としたビザの中で最も取得しやすいビザだと言えるでしょう。
リタイアメントビザはどこで取得できる?
リタイアメントビザは、日本でもタイでも申請することができます。
日本で申請できるのは、在東京タイ王国大使館、在大阪タイ王国総領事館、在福岡タイ王国総領事館の3ヶ所。(タイ王国名古屋名誉総領事館では2021年5月27日よりビザ発行業務を終了しています)タイでは移民局(イミグレーション)で申請できます。
日本で申請した場合、タイでの申請より必要書類が多く、申請料も少し高くなります。また申請前に航空券を購入しておかなければならず、渡航日とビザを取得できる日のタイミングを合わせるのも少し難しいです。
上記のような理由で、タイで申請する方が多いようです。
タイで申請する場合も、滞在期限の15日前までに申請しなければならないという期限がありますが、ノービザでの滞在が45日に延長されたことにより、これまでより時間に余裕を持って申請できるでしょう。(ノービザ滞在日数の延長は2022年10月1日〜2023年3月末の期間限定)この記事では、タイでの申請方法について詳しく解説していきます。
東京、大阪、福岡での申請手順、詳細については下記でご確認ください。
・東京
在東京タイ王国大使館 http://site.thaiembassy.jp/jp/
在東京タイ王国大使館 ビザ http://site.thaiembassy.jp/jp/visa/prepare/
・大阪
在大阪タイ王国総領事館 http://www.thaiconsulate.jp/jpn/
在大阪タイ王国総領事館 ビザ http://www.thaiconsulate.jp/visa-top/
・福岡
在福岡タイ王国総領事館 https://fukuoka.thaiembassy.org/jp/index
在福岡タイ王国総領事館 ビザ https://fukuoka.thaiembassy.org/jp/page/services…
リタイアメントビザの申請条件
リタイアメントビザの申請条件は以下の通り。
1. 申請時に年齢が満50歳以上
2.タイ王国の入国禁止者リストに載っていない
3.過去、日本でタイの治安を脅かすような犯罪歴がない
4.タイ王国の特定疾患(ハンセン病・結核・麻薬中毒・象皮病・第三期梅毒)ではない
5.日本国籍もしくは日本に永住権を持つ外国籍の方
6-1. 直近3か月のタイ国内の預金額が80万バーツ(約300万円)以上
6-2. 毎月の年金収入が6.5万バーツ(約24万円)以上
6-3. 預金と収入の合計が80万バーツ(約300万円)以上
※6-1.2.3についてはいずれか一つを満たしていればOKです。
また、リタイアメントビザは退職者向けのビザなので、タイで仕事をしていない、しないこと事が絶対条件となります。では「タイ以外の国の仕事を、タイからリモートワークで行う」ことについてはどうなるかというと、この是非についてはネット上でも様々に解釈、議論されているところです。法律自体がインターネット以前に作られたものであることから「実質グレーゾーンにある」という見方が最も無難かもしれません。ただ「タイ以外の仕事は禁止ではない」と捉えることもできますし、「ノマドワークは違法行為である」として取り締まられた例もありません。
(※2022年9月1日より申請受付が開始されたLTRビザで、国が規定する水準を満たすノマドワーカーに労働許可が下りることになりました。このことにより、水準に満たないノマドワークのグレー性が高まることを指摘する声もあります。)
タイのリタイアメントビザの申請方法
次にリタイアメントビザの申請方法についてです。
手順は以下の通り。
1. タイの預金口座の開設
2. 必要書類の準備
3. タイの移民局(イミグレーション)で申請
もともとタイで働いていた方は「1.タイの預金口座の開設」は不要なので、書類を準備してイミグレーションで申請するのみです。
それでは順を追ってご説明していきますね。
1.タイの預金口座の開設
必要条件にもあるように、リタイアメントビザを取得するにあたってタイの銀行口座に80万バーツ以上の金額を預金しなければいけません。
ですので、タイの銀行口座がない方はまず口座開設からスタートしましょう。
ただ、一般的にビザを保有していない外国人が口座を開設できる銀行・支店はあまり多くありません。(日本では信じられませんが、同じ銀行でも、支店が異なると開設可否が変わります。)
そのような中でも比較的、スムーズに口座開設ができると言われているのがバンコク銀行のシーロム本店。日本語デスクもあり、日本語で対応してもらうことができます。しかし、バンコク銀行のサイトには次のように記載があります。
旅行者のお客様は、原則として口座を開設いただくことはできません。口座開設必要書類は、パ スポートと労働許可証です。労働許可証をお持ちでないお客様で、長期滞在ビザ(Non-Immigrant B, ED, O, O-A 等)をお持ちであれば口座開設は可能です。
引用― https://www.bangkokbank.com/en/Japanese-Section/FAQs
まだビザを持っていない人(その時点では旅行者)が、ビザを取るために新規口座を開設することはできないのでしょうか。
バンコク銀行シーロム本店の日本語デスクへ問い合わせてみたところ、やはり原則として労働許可証または長期滞在ビザをお持ちの方のみ口座開設が可能ということでした。そして、「リタイアメントビザ手続きのための口座開設は支店ごとの判断になるため、申請者本人にシーロム本店ジャパンデスク窓口で直接相談してもらう必要がある」とのこと。
次に、バンコク銀行テレフォンバンキング「Bualuang」へ問い合わせて(英語・タイ語のみ)担当の方に話を聞いてみたところ、やはりビザ、労働許可証を持たないカスタマーについては窓口での個別対応になるとのことでした。ただ、現在のところ、シーロム本店では「居住証明証」が必要だそうです。タイの現住所に居住していることを証明する書類で、在タイ日本国大使館・領事館またはイミグレーションで取得できます。滞在しているホテルの支払い領収書(ホテルの住所が記載されていること)、またはアパート、コンドミニアムなどの契約書等が必要になります。
バンコク銀行テレフォンバンキングBualuang
https://www.bangkokbank.com/-/media/files/international-banking/japanese/bualuangphone_jp2.pdf?la=en&hash=5541CFAD36F2C15CFED66B5AF6C4A20935CA75DA
ということで、
口座開設の為の必要書類は以下のようになります。
- パスポート
- タイバーツ(口座開設時に入金するお金。数千バーツ)
- 居住証明書(※開設する店舗、時期によって変更があるので要確認)
必要書類に関する内容は常に変更の可能性があるため、必ず事前にメールや電話で問い合わせて確認しましょう。
バンコク銀行日本語デスクWebサイト:https://www.bangkokbank.com/en/Japanese-Section
日本語デスク問い合わせ用メールアドレス:japandesk@bangkokbank.com
長期滞在ビザを持たない旅行者がもっとも口座を開設しやすいと言われているバンコク銀行でも、ここ数年間で必要書類が「運転免許証抜粋証明」(運転免許証のタイ語翻訳)から「戸籍記載事項証明」に変わり、2022年現時点では「居住証明書」に変わっています。
必要書類の確認ひとつ取ってもややこしく、せっかくのビザ取得のための渡航を無駄にする可能性もあります。この時間ロスを解消するために、プロのビザ・口座開設サポートを利用することも選択の一つでしょう。
昨今、バンコク銀行の口座開設にあたっては、運転免許証のタイ語翻訳が求められるようになってきています。運転免許証のタイ語翻訳は、在タイ日本大使館で発行してもらうことができます。日本大使館も日本語で問い合わせをすることができますので、事前に問い合わせをしてからお伺いされることをお勧めいたします。注意頂きたいのは、すでに運転免許証の返納をされてしまった方。2019年当時、返納証明書の翻訳はできないとの、在タイ日本大使館での回答で、わざわざ口座開設のためにタイを訪れたのにも関わらず、口座開設できなかったという方がいらっしゃいました。
在タイ日本大使館Webサイト:https://www.th.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
たかが銀行口座の開設なのですが、海外で銀行口座を開設することは日に日に難しくなってきております。せっかくのリタイアメントビザ取得のためのタイへの渡航を、無駄にしないためにも、プロのビザ・口座開設サポートを利用することが賢い選択なのかもしれません。
2.必要書類の準備
銀行口座の開設が済んだら、ビザの申請に必要な書類を準備しましょう。
必要書類は全部で6種類あり、日本で取得してきた方がスムーズなものもありますのでタイへの渡航前に揃えられるものは揃えてしまいましょう。
1.資力証明書類(英文)原本とコピー
1-1.タイの銀行口座の過去3か月分の通帳コピーと現残高を証明する銀行発行の書類
1-2.6万5千バーツ以上の年金受給収入の証明書
1-3.タイの銀行口座の預金と年金受給の合計が80万バーツを上回ることの証明書
(1-1~1-3のいずれか1種類の証明書を銀行にて発行してもらえます。)
2.海外からの外貨送金証明書
3.パスポート(有効期限6か月以上、査証欄の余りが2ページ以上)とコピー
4.申請者本人のカラー写真(4×6㎝、背景は白のみ)
5.記入済みのリタイアメントビザ申請書(TM.87という書類。イミグレーションのWebサイトからダウンロード可)
6.英文の経歴書(在タイ日本大使館のWebサイトからダウンロード可)
タイ移民局(イミグレーション)Webサイト:https://www.immigration.go.th/en/
在タイ日本大使館Webサイト:https://www.th.emb-japan.go.jp/
外貨送金証明書については注意!
ここで一点注意が必要な点があります。タイで納める80万バーツ分の預金の持ち込み方法ですが、絶対に税関申告なしで、手運びはしないでください。
上記必要書類にある2.の外貨送金証明書を提出することができなくなってしまいます。2.の外貨送金証明書を取得するためには、日本をはじめとした海外から銀行送金で資金を送金すること、もしくは、タイ入国時に空港で申告の上、タイ国内に持ち込む必要があります。
外貨送金証明書を提出できない場合には、別途タイ国内で収入があったこと(過去お仕事をされていた方、コンドミニアム投資をされていた方などは可能かもしれませんが)などを、たくさんの資料で説明する必要があります。
タイの移民局(イミグレーション)で申請
書類の準備が済んだら、いよいよタイの移民局へ出発です。
バンコクに住んでいる方はバンコクの北部にあるチェーンワッタナーの移民局を利用します。
ビザの申請には時間がかかりますので、必ず朝一番に訪れましょう。
中へ入ったら番号札を貰って自分の順番が来たら、申請書類と申請料(2,000バーツ)を担当の方へ渡します。
受理されれば第一ステップのシングルビザ(有効期限3か月)の獲得です!
リタイアメントビザの更新方法
リタイアメントビザの手順として、まずは3か月のシングルビザを取得し、その後1年有効なマルチプルビザを取得するという流れになります。
ですので、全ての人がビザ取得後3か月以内にビザの更新という手順を迎えます。
ビザの更新時に必要な書類は取得時とほぼ変わりませんが、銀行の証明書は再度取得する必要があります。
また、イミグレーションへ提出する書類はTM.87からTM.7へと変わるので注意が必要です。
まとめ
今回はリタイアメントビザの申請方法を詳しく解説しました。
50歳以上の方が取れるビザの中では比較的簡単に取れるものであるにも拘らず、必要書類もたくさんあって、手続きもすべて英語かタイ語で行わなければいけないとなるとなかなか面倒です。
また、ビザの申請は書類の不備や不足などの問題が起こりやすく、移民局の担当者ベースで言う事が変わることもあります。事前に電話で確認していても、当日行ってみたら全然違う書類を要求されることもざらです。リタイアメントビザは滞在期限の15日前までに申請する必要がありますが、居住証明、銀行口座の開設など、必要書類を揃える時点で時間を取られることもしばしばあります。自力で行う事のメリットとしては申請時のコストがかなり安く済むというくらいでしょう。
それなら数万円はかかるけれどスムーズにビザを取得できる専門の代行業者に依頼するいうのもメリットの大きい方法です。当サイトでもリタイアメントビザの申請代行をお手伝いさせて頂いておりますので、ご興味がありましたら一度お問い合わせ頂ければと思います。
まだ年齢が50歳に達していない方は、リタイヤメントビザの他にもタイエリートカード会員になるというビザの取得方法もあります。
リタイヤメントビザとエリートカードの比較はこちらをご覧ください。
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